ホワイト企業の就業規則

就業規則…?

就業規則の不備で、泥棒に追い銭を支払った会社の実例です。

ある会社がハローワークに求人を出してパート従業員を雇いました。
仕事は経理補助。銀行などに行ってお金の出し入れを行います。
多額ではないのですが、なぜかお金があわないのです。
おかしいなと思いながらも1年が過ぎ、パート従業員が盗みを働いていることが判明。
2代目経営者の悔し涙
人情派の社長は、母子家庭だし、次の就職の事もあるので何とか解雇にはしたくないと思い、総務部長に処理をお願いしました。総務部長は社長に言われ、インターネット上の言葉を調べてパート従業員に諭旨解雇にするので退職するようにと郵便局から郵便を送ったのです。その会社は、そのような処分を決める際に、自社の就業規則の内容を確認もしなかったようです。
処分というのは、重要な問題ですから、そんな時こそ就業規則の内容が問われますが、就業規則の内容をロクに確かめもせず処分を決めたのです。ところが、あろうことか、何とパート従業員は、郵便を受け取り、労働基準監督署に駆け込んだのです。
「こんな郵便がきて、会社に解雇されたのに、解雇予告手当を支払ってくれません」
「私どうしたらいいですか?」
数日後、労働基準監督署から会社に1本の電話がかかってきました。
「おたくの会社を解雇されて、解雇予告手当を支払ってくれないという人が窓口に相談に来ています」
「詳しい事情を聞かせてください。オタクの会社の就業規則の内容はどうなっていますか?

「何事だ?」

2代目社長も、これには怒り心頭です。もちろん、会社は労働基準監督署に、このパート従業員が盗みをはたらいていた事実を伝えました。
しかし、会社が労働基準監督署から言われた答えは会社の思っているものとは全く逆でした。
「残念ですが解雇予告手当を支払わないと、御社は労働基準法違反になります。労働基準監督署から是正勧告を出すことになりますから、きちんと対応してください。オタクの会社の就業規則では今回の案件に全く対応できていませんよ

就業規則のココが不備だった!

残念ですが、この会社は対応を間違えました。労働基準法などに照らしますと、3つの間違いがあります。

1つ目は、この会社の就業規則には諭旨解雇なんて規定はそもそもなかったのです。

就業規則に規定がないことはできないのです。きちんと就業規則を作成しておけば、こんなことにはならなかったのです。
インターネットの情報に惑わされて、誰にも確認もせず就業規則にないことをやってしまったのです。

2つ目は、盗みを見つけてすぐに本人とその場で話をして自己都合退職にしなかったことです。

その場で自分の非を認めているなら、自分からやめていったかもしれません。

3つ目は、郵便をおくって直接話し合いをしなかったことです。

書面の場合、書面だけが独り歩きをします。
諭旨解雇であれ、普通解雇であれ、解雇するには30日前に予告するか、解雇予告手当を支払うか、労働基準監督署に予告手当を支払わないでいい認定をもらわなくてはいけなかったのです。

怒る社長就業規則の中には懲戒という規定がありますので、会社側も就業規則の内容を常にチェックするようにしましょう。

就業規則は会社の憲法です。物を盗んではいけない。小学生でも知っていることです。しかし、真面目にきちんと働いてくれている従業員を守りたかったら、会社としてやってはいけないことをきちんと就業規則の中に盛り込まなくてはいけません。労働基準監督署にもきちんと対応できる就業規則が必要なのです。

泥棒に追い銭。そうならない為にもきちんとした就業規則が必要なのです。真面目な従業員を守りたいからこそ経営者の思いを就業規則にしてください。

中小企業でも、最近はこんな事例が増えています。

先代経営者が作ったまま、長年放置した就業規則になっていませんか?